この記事では、これから卵子凍結をしようと考えている方や迷っている方に向けて、
私が、東京都の「卵子凍結に係る費用への助成」の制度を利用し、
2024年に卵子凍結を行った体験をお伝えしていきます。
まず、卵子凍結とは何か、についてですが、
卵巣から採取した卵子(未授精)を将来の妊娠に備えて凍結保存することです。
がんなどの病気を抱え、抗がん剤等を使った治療の前に卵子を凍結する「医学的適応」と、
加齢などによる生殖能力の衰えに備える「社会的適応」のための2つの目的があります。
昨今は、後者も増えており、
「今はパートナーがいないが将来的に妊娠したい」
「パートナーはいるが仕事などの事情で今は妊娠できない(したくない)が将来したい」
といった理由で卵子凍結を検討される方が増えています。
東京都の卵子凍結の助成金は、
こういった「社会的適応」にも助成金の幅を広げようということで、
2023年から始まっています。
さて、私は2024年春に卵子凍結を行ったわけですが、
実際体験して分かった、卵子凍結のメリットとデメリットをお話しします。
卵子凍結のメリット
卵子凍結のメリットは大きく4つご紹介します。
- 卵子凍結した時点の年齢で、卵子の質が維持されること
クリニックの先生にも再三言われたのですが、卵子は年齢で数も減っていきますが、質も落ちていくという事実。つまり、妊娠できる可能性や、着床後成長する可能性が低くなり、流産する可能性も高くなるということです。
「今日が一番若い日」なんて言いますが、卵子凍結においては本当にそうだなと実感します。
むしろ私は、30歳過ぎたあたりから気になってはいたので、35歳まで待ってしまったことを、
今少し後悔したり・・・。(でも当時は助成金なかったし踏み切れなかったです) - 自分のライフプランに合わせて妊娠出産の時期を選べる
女性にとって、妊娠出産は大変大きなライフイベントだと思います。
キャリアを一時的にでも中断せざる負えないこともありますし、
気持ちの問題で「まだ妊娠したくない」と思う気持ちもすごくわかります。
自分の気持ちや、ライフプランに合わせて、ここだというタイミングで妊娠できるのであれば、
それはとてもプラスであると思います。
ただし、のちのデメリットでも述べますが、必ず妊娠できるという確約はないですし、
妊娠できる年齢的なリミットは必ず来ます。
「決断まで猶予が与えられる」という考え方がいいのかなと思います。 - 精神的な安定を得ることができる
将来結婚して子供を欲しいと思っている人や、まだ決めていない人にとって、
精神的な安定を得ることができるという部分は大きいのではないでしょうか。
実際、私の場合は、20代の時は、
「子供なんて全然ほしくない。特段かわいいと思えない(笑)」なんて思っていたのに、
30半ばになると、「将来子供が欲しいかまだ分からないけど、欲しくなるかもしれない…」
なんて、考え方が変わってきました。
年を取ると、こんなにも人って変わるんですね笑
妊娠の年齢的なリミットが近づく中、決断を「保留」するボタン、それが卵子凍結だと思います。
その間に、パートナー探しやキャリアに没頭すればいいですし、
心配事が一つ軽くなったというのは、実際体感しています。 - 自分の体の状態と向き合う機会となる
4つ目のメリットは、卵子凍結自体のメリットというか、そのプロセスの中で、
自分の体の状態を知ることができるということをお伝えしたいです。
私の場合、事前検査のAMH検査において、
卵子の残数がかなり少ないという事実を突きつけられました。(実年齢35歳で43歳相当数)
ショックではありましたが、この事実を知ることができて良かったと思います。
このように、AMH検査や性病の検査など、さまざまな検査をおこない、
卵巣の状態や卵子の状態などを調べることで、
自分の体としっかり向き合うことができる機会だと感じました。
最終的に卵子凍結を行うかどうかは別にしても、このような検査の機会は、
とても有意義であると感じています。
卵子凍結のデメリット
卵子凍結のデメリットの詳細については、次のとおりです。
- 検査や手術にかかる費用が高額である
別の記事で書きましたが、卵子凍結の費用は高額で、私は初年度で50万円ほどかかりました。
助成金が出ているとはいえ、かなりの金額負担はありますし、
その後保存を数年やると、さらに費用はかさみます。
正直なところ、将来的に使うかもわからないので、
もしかしたらお金をドブに捨てるような感覚もありますが、
それでも、(メリットでも書いたように)得られた精神的な安定を思えば、価値のある投資だと、
私は個人的に考えています。 - 通院を頻繁に行うため予定調整の難しさや精神的負担がある
正直、通院がとても多いです!これは多くの方のネックになるのかもしれません。
そして、生理の状況や卵子の成長具合に応じて通院タイミングが決められていくので、
コントロールができません。
仕事をされている方にとっては、それなりの調整が必要になりますし、
毎回会社に伝えて通院するのは、精神的な負担にもなるのではないかと思います。 - 排卵誘発剤や薬の副作用で体への負担が生じる可能性がある
卵子凍結は一度に多数の卵子を採取する必要があるため、排卵誘発剤を使って、
複数個の卵子を育てていきます。それにより卵巣が大きく腫れるなどの身体的な負担があります。
私も、実際に誘発剤を使ったころは、鈍痛のようなジーンとする腹痛を感じました。
そのほかにも、手術中の麻酔の使用で副作用が発生する場合や、
手術後に卵巣の腫れが発生する場合もあります。 - 卵子凍結できても、受精や着床が100%確約されるわけではない
卵子凍結をしても、100%将来の妊娠が確約されるわけではありません。
一般的に、採卵した卵子のうち将来解凍して、
妊娠可能な胚まで育つのが2~3割程度とされています。
※この確率も、卵子の質によって、異なります。
そのため、卵子凍結の際には、なるべく多く卵子を凍結しようとなるわけです。
卵子凍結の数が多ければ、それだけ、胚まで育つ数が増える=妊娠確率が上がるからです。
とはいっても、確率の話ですので、
10個しか保存できなくても妊娠・出産をできる人もいれば、
20個あってもかなわない人がいるのが事実です。
また、卵子は無事に凍結でき、対外受精できても、
何らかの病気や事故等が起きて、卵巣が着床・妊娠できない可能性もありますよね。
そのため、将来の妊娠・出産を確約してくれるものではないということを、
理解しておかなくてはなりませんね。
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